こうかいドバドバ海峡

多くの後悔を抱えて読書紹介

はじめに~後悔と航海する~

 

voyage、という単語を忘れることができない。高校生の時、海を渡るというテーマのライトノベルを書いていた。何らかの理由で記憶喪失になった少女が、地球の反対側にいる自分のドッペルゲンガーに記憶の手がかりを求めて会いに行く、というストーリーだったと思う。それに影響されて、個人的なパスワードにvoyageという単語を忍ばせておいた。

 

なのに。

 

「航海する」、という単語で後悔したのは大学生の時。英語のグループワークでとびきり可憐な女性とペアになった。音読を命じられた単語の中にvoyageがあった。私は、その単語の「意味」は理解していたのに、「発音の仕方」を知らなかったのだ。

 

読むように言われたのが俺だったらよかったのに。私はずっとそう思っている。でも違った。可憐な女子は読むように指摘され、彼女は私に助けを求めた。

 

「ねえ、これ、なんて読むんだっけ」

 

私は――情けない顔をして曖昧に笑った。彼女はなにか変な読み方をして、それで――。

 

Is that really English? と外国人講師に笑われた。彼女は紅い顔をしていた。なにがライトノベルだ。なにがパスワードだ。私は自分を呪った。

 

思えば、大学でまともに女の子と会話したのは数回しかない。衝撃的だったのは、提出1か月前に「卒論の書き方を教えて」と言われたことだ。真剣な顔つきで「いいよ」と言ったら、笑われた。彼女にしてみればくだらない冗談だったのだ。当時の自分は純粋だった。深刻な対人経験不足で、本音と冗談の区別がつかない大人だった。憶えておきたいことは忘れてしまう。忘れてしまいたいことは、脳細胞の奥にしつこくこびりついている。

 

後悔の多い人生を送ってきた。しくじって前のブログを消してしまった。今後もそういう、「積み上げ不足」のせいでいろんなことが起こるだろう。そんな時、私を支えてくれるのは読書であることを確信している。

 

このブログでは、この私ヤツハシが読んだ本を紹介していこうと思う。本文の引用を交えながら、建設的な意見を提供できるように心がけたい。更新頻度はそうおおくないけれど、あなたの人生のヒントになるような場になれば幸いである。

 

こうかいドバドバ海峡は、今日も波立っている。